2011年03月

 太平洋沿岸のJR東日本の津波被害の状況が判明しつつある。東北新幹線が4月後半にも再開かという一方で、在来線であるこれらの路線の復旧は時間を要する感じがする。駅の流失、橋脚の破壊など、まさに満身創痍の体だ。被害額もまだわからないという。沿線の住民の方々にしてみれば、一刻も早い復旧が望まれるだろうが、目途たたずのようだ。

 
 トマス・シッパースという指揮者を若い方はご存知ない方が多いかもしれない。しかし、現役の頃は有望な若手としてもてはやされていた。だが、バーンスタインの影にかくれた形であまり録音にも恵まれず、夭逝してしまっているが、オペラもコンサートも確かな腕前があった。録音も名演も多いが、これもその一つ。「アレクサンドル・ネフスキー」は私のお気に入りの一つ。NYPも合唱もいい。エイゼンシュテインの映画を彷彿させるものがある。

 3/31の日経朝刊の「春秋」というコラムは以下のような記述である。
 
>1945年6月といえば、終戦の2カ月前である。焼け野原の東京に、ベートーベンの「第9」が響いたという。日本交響楽団が日比谷公会堂で開いた演奏会だ。テノールの木下保は「日本はまだ大丈夫だ」と戦地に手紙を送っている。
 
>戦時中は音楽会も芝居も町内のお祭りも、すべて消えたー。後世の私たちはそう思いがちなのだが、じつは多くの催しが健在だった。杉村春子がのちの代表作となる「女の一生」を初めて演じたのは、なんと東京大空襲の翌月だ。東京・浅草では、終戦直前の夏も焦土の上に恒例のほおずき市が立ったという。
 
>こんどの大震災は、さながら戦争のように「日常」を奪っている。被災地への心配りと、節電への協力で様々なイベントの中止が相次ぐ。とても楽しめる気分じゃない、のも確かだ。が、こんなときの「日常」が人々を勇気づけることも心に留めて置こう。空襲下の「第9」も「女の一生」もそうだったに違いない。
 
>あちこちから花だよりが届き始めた。今年は桜祭りも取りやめのところが多いというが、ドンチャン騒ぎは別として花に酔ういつもの春はあってもいい。作家の池波正太郎が書いている。軍隊にいた池波は、故郷のほおずき市が焼け跡で開かれたのを母親からの手紙で知った。そのとき、生きる希望を得たのだと。
(日本経済新聞 2011.3.31付け 朝刊掲載「春秋」全文)
 
 これを読んでどう思うか。各人の感想は様々だと思う。いつもの生活をすることも、支えになるではないかと思っている。人心を逆撫でするようなことを除いては。
 
(追記)
 先日のプロ野球セリーグ開幕の騒動はどうなのかということがある。一応、パリーグに合わせることになったが、これも自粛ではないかという意見もあろうかと思う。だが、やや意味合いが違うように私は受け止めている。まず関東地区の停電問題が関連してくる。また、選手など関係者の意見を無視したような行動、本当に被災地を励ますというような目的とは異なるものが感じ取れるといったところが、世間の反発を呼んだように思えてならない。
 

 速報に続き、会見の詳細が掲げられている。これを見るとやや歯切れの悪さは感じられる。1~4号機は廃炉と言っているが、他は含みを持たせた感じだ。これに地元は他も同じだという反応があったという。純粋に経営という面でみれば、全て廃炉というのはかなりの痛手ではあるだおうから、未練な感じな発言として出てくるのだろう。だが、経営面だけではない、社会への影響となると早目の決断はどうしても必要ではなかろうか。当初、アメリカの支援を断ったというニュースが流れたが、廃炉前提のスキームで政府や東京電力が時期尚早と断ったと言われる。その真偽はわからないが、アメリカはいち早く福島第一原子炉に見切りをつけていたことになる。存廃に言葉を濁しているところを読むと、アメリカの支援を断ったのはあり得るなと感じる。
 会社の存続が厳しいことも初めて認めている。少なくとも業態は変えなければならないであろう。それから気になるのはこの会見の直後に保安院の会見で会長が安定している状態と言っていることを打ち消すようなことが出ている。これはどっちなのか、素人の我々はまた不安になる。

 雪の中を走る伯備線のコンテナ列車である。2008年の2月頃のもの。王子製紙㈱米子工場の荷物が多いと聞く。
 次は「サンライズ出雲」である。東京と出雲市を結ぶ寝台電車だ。岡山までは「サンライズ瀬戸」と連結して、運行される。この路線は381系による「やくも」が有名だが、こういった車両も走っている。米子と伯耆大山は山陰で唯一貨物を扱う駅になってしまった。かつて、D51が貨物列車を牽引して、山陰両県や伯備線方面に走っていた時代からすれば隔世の感がある。また寝台列車は機関車牽引の客車が相場だったが、こういう電車が登場するとブルートレインが駆逐されるのも無理はない。ただ、この車両に何回か乗ったが、狭い個室は何だか牢みたいであまり好みではない。

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