ヴィクトリア・ロス・アンヘレス(S:ミミ)
ルチーネ・アマラ(S:ムゼッタ)
ユッシ・ビョルリング(T:ロドルフォ)
ロバート・メリル(Br:マルチェッロ)
ジョン・リアードン(Br:ショナール)
ジョルジョ・トッツィ(B:コリーネ)
フェルデナンド・コレナ(B:ベノア、アルチンドロ)
ウィリアム・ナール(T:パピニョール)
トーマス・パウウェル(Br:税関吏)
ジョルジ・デル・モンテ(Br:税関の警官)
サー・トーマス・ビーチャム指揮 RCAビクター管弦楽団・合唱団 コロンバス少年合唱団
録音月日:1956年3月16,17,30:4月1,3,5,6日 録音場所:マンハッタン・センター、ニューヨーク
録音方式:モノラル
このアルバムはLP時代から有名なものだったが、今回初めて手に入れて聴いてみた。ビーチャム卿に少し興味を覚えたからだ。同時期にグリーグも購入して先日記事にしたばかりだが、このプッチーニの「ボエーム」も聴いてみたくなった。ディーリアスの作品の普及者としても有名で数々の楽団を設立に関わったイギリス楽壇の大立者だった卿がアメリカで録音したものだ。楽団名がレコード会社名を冠にしているのは契約の関係で実体名を出せなかったようである。これはMETのアンサンブルと言われている。また、EMIからの販売なのに何故、RCAビクターなのか。録音はRCAが担当したのであろう。この当時、RCAとEMIは提携していた。周知のように両者はニッパー犬の絵を掲げた「His Master's Voice」を商標にしていた関係だ。後にこれは解消され、RCAはDECCAと提携する。解消する時にEMIに移管したのか、ビーチャムがイギリスではEMI専属で当初からEMIに帰属していたのかではなかったかと推察している。
さて、中味はアンヘレスのミミというのがまず驚くが声だけを聴いていると誠に可憐なミミである。ビョルリングのロドルフォも朗々とした美声を聴かせてくれる。メリルやコレナなどの脇役もいい。ビーチャムの指揮はトスカニーニほど厳格ではないが、やはりやや速めのテンポで爽快なものだった。このオペラは面白うてやがて哀しきという類のもの。やや筋が不明瞭なところはあるが、音楽がそれを補って余りあると思う。
モノラルだけれどもいい状態で聴けるのもありがたい。今手許にあるのはアメリカ盤だが、UK盤もあるし、NAXOS盤もある。