2011年12月

 今度はスペインの雲行きがあやしいらしく、年末ぎりぎりで1€が100円割れをしてしまった。2月、3月にギリシャ、イタリアが大量の国債償還を迎えるらしくまさにユーロは正念場かもしれない。
 
 音楽が好きなので、オペラやコンサートを聴きに本場のヨーロッパを訪ねようと思うと、今がいいチャンスかもしれない。だが、ヨーロッパへ製品を輸出する企業にとっては身が細る思いであろう。ある企業1円の円高で60億円の利益が吹っ飛ぶと新聞にはあった。だいたい1€=108円想定らしいから、実勢とは大きく逸脱してしまっている。

 今朝の日本経済新聞に音楽市場が厳しい状態であることを伝えている。
 
 まず、22年ぶりにCD生産が2億枚を割ったことが挙がっていた。確かにAKB48の人気でシングルCDは20%アップしたものの、生産の70%弱を占めるアルバムは17%減だという。これはパッケージものを購入して音楽を聴かず、配信によって享受する人が増えたためである。
 
 ならば配信は好調かというとそうではない。無料で聴く者が増えて、音楽を聴くのにお金を払わない状況が増えたというのである。
 
 これに対して著作権を所有している方は何らかの対策を立てるのであろうが、米国ではCDよりもネット配信の率は高いという。まだ日本はCDなどが高い。そういう統計が示されているのを目にした。

 BBC放送が幸いに視聴できるので、合わせてみたら、葬儀のライヴ中継をやっていた。今朝、「深夜ですが、中継します」と予告していたので、どこかの時間帯でその一端を目に出来ると思っていた。日本で日本テレビ系がやっていたようであった。
 
 さて、平壌は雪が降っているようである。市民は葬列を見守っていて、泣き叫ぶ声が大きく入っている。軍服姿の女性が身をよじって泣く姿が映しだされていた。天気は荒れ模様のようだ。居並ぶ人たちはたいへんだなと余経なことを思ってしまう。テロップでは外国の参列はないであろうということである。
 
 時折、向こうの国営放送の女性アナウンサーの独特の語りが入っているが、これらは全て英訳されて流れていた。どうやら、ソウル支局の特派員はこのライヴ映像を見ているようで、韓国では映像を受像できるかもしれない。総書記の遺体は永久保存のための防腐処理が予定されているそうである。既にロシアからはチームが入っているという。

【収録情報】
テレビ・シリーズ「レナード・バーンスタイン&ザ・ニューヨーク・フィルハーモニック」より

DVD1:『カルメンの物語 THE DRAMA OF CARMEN』(約81分)
・ビゼーの名作オペラ『カルメン』を観ながら、バーンスタインが解説する「カルメンの物語」


DVD2:『ジョイフル・ノイズ A JOYFULL NOISE』(約53分)
・旧約聖書におさめられた150編の神への賛美の詩「詩篇」を考証するクリスマス向け講座「ジョイフル・ノイズ」

DVD3:『イン・ジャパン IN JAPAN』(約53分)
・1961年4月26日の東京文化会館こけら落としコンサートから5月7日の日立市までコンサート・ツアーを実施した時に撮影されたもの。中でも5月5日の東京文化会館の映像には、バーンスタインがメモを見ながら日本語で、26歳の小澤征爾を呼び込み、小澤征爾がニューヨーク・フィルハーモニックを振る(黛敏郎:バッカナール)貴重な映像があります。客席には黛敏郎の姿も。

DVD4:『音楽のユーモア THE HUMORS OF MUSIC』(約52分)
・バーンスタインお気に入りのテーマ「音楽のユーモア」について講義。

(ボーナス・トラック):ベートーヴェン:交響曲第9番(約12分)
・ベートーヴェン:交響曲第9番第2楽章スケルツォを解説。

 ニューヨーク・フィルハーモニック
 ニューヨーク・フィルというと「The Young People's Concert」が有名だが、こちらは少し大人のための音楽講座みたいである。そのうちの5本と初回の一部がこのBOXには収録されている。その内、一つはこのシリーズの最終回に相当するやや長い映像とそしてこのコンビが初来日でした折の映像とが収録されている。後者は当時バーンスタインの副指揮者だった小澤征爾が同行していて、武満徹の作品を振るところが出る。たいへんキビキビした指揮姿で観ていて清々しい。
 
 バーンスタインは教育者でもあったので、テレビという媒体をフルに使った人出でもあった。音楽とユーモアでは、音楽自体でユーモアを表現する例としてR.シュトラスの交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルのゆかいないたずら」を取り上げ、最後はそれを通して演奏してくれる。1959年の映像で、当時のNYPは全て白人男性で占められている。東洋系や黒人の楽員もいないし、女性もいない。コンマスはジョン・ココリアーノ。同名の作曲家の父君である。ヴィオラの首席はウィリアム・リンサーであろうか。フルートの首席はジョン・ウッマー、トランペット首席はウィリアム・ヴァッキアーノ、テューバ首席はウィリアム・ベルらもいたように思う。今から見ると隔世の感がある。
 
 なお、ベートーヴェンの第9番の映像は初回の一部。部分なのが残念なのだが、他は現存しないのかもしれない。ただ、これは曰くつきで、1958年11月の放送だが、この当時ヘルベルト・フォン・カラヤンがこのNYPに客演していて、第9番を演目にしている。バーンスタインはリハーサルと本番を密かに撮影させて、それを知ったカラヤンは激怒、あろうことかテレビ番組まで制作していることに更に態度を硬化させて、不仲になってしまったというのだ。ミトロプーロスが仲介したものの、仲直りはなかったようだという。そういう裏話を知ると人間社会の綾を感じずにはいられない。
 
 だが、我々日本人にとって一番興味があるのは3枚目の日本についてのドキュメントであろう。彼らの演奏以外に雅楽や文楽、琴、民謡の分析がバーンスタインによってなされている。

 この話が本当であると、隣国の独裁国家みたいな体制ではなかろうか。同社の役員は日本の信用を著しく低下させた張本人であることを自覚しているのであろうか。

↑このページのトップヘ