2012年04月

①交響曲第2番「閉ざされた空間」
②交響曲第9番「タラッサ」
③交響曲第8番「大地の舞曲」
ホセ・セレブリエール指揮 マラガ・フィルハーモニー管弦楽団
2010年10月5-8日 セッション録音
(発売元コメント)
マドリードで生まれた作曲家トマス・マルコ(1942-)は、法律を学びつつ、音楽(作曲とヴァイオリン)を、彼曰く「少年のように」学んだという人。フランスでブーレーズとマデルナ、ドイツでシュトックハウゼンに就き、1967 年には彼の助手にもなっています。心理学、社会学も取得、作曲だけでなく教師としても活躍しています。この交響曲集は、彼のインスピレーションの源を探るかのような曲集であり、第2 番以外は世界初録音となっています。第9 番「タラッサ」は神話の女神の名前であり、中世の旋律を素材とし、それらを念入りな色彩の音色で彩るというもの。また交響曲第8 番は、各楽章に「幻の大陸」の名前が付けられていて、そのどれもが活発な舞曲のリズムで描かれています。スペイン風な音楽とは違った味わいですが、畳み掛けてくるような迫力に満ちた音とリズムは、一度聴くと病みつきになること間違いなしです。
 
 これは通販のカタログで掲載されて知ったものである。トマス・マルコという作曲家は今般初めて知った。それよりも指揮がホセ・セレブリエールであることに着目した。オーケストラはこれも私には初めて知る団体である。
 
 範疇としては現代音楽になるが、前衛的なところはあまりなく、リズミックな音楽や独特の和音が面白い。この3曲はどれも違った様相なので、マルコという人はどういう傾向の曲を書くのかは判断しがたい。9曲の交響曲、6つのオペラの他、合唱曲や室内音楽も手掛けている。このレーベルは9つの交響曲を全てリリースする計画があるのかもしれない。第8番と第9番は世界初録音と書いてある。

①ドヴォルザーク:チェロ協奏曲ロ短調作品104
②ブルッフ:コル・ニドライ作品47
③チャイコフスキー:ロココ風の主題による変奏曲作品33
ヤーノシュ・シュタケル(チェロ)
アンタル・ドラティ指揮 ロンドン交響楽団
 
 これらはシュタケルの壮年期の油の乗った時代の演奏であると思う。凛とした演奏ぶりはやはり一聴の価値はあると思う。この盤はSACDのハイブリット盤。迂闊にも手許のブルーレイプレヤーはSACDプレーヤーも兼ねていることを最近知った。そこで、その機能を使わせてもらったが、いくぶん柔らかい音で自然な広がり感があって、心地よく聴けた。

①チャイコフスキー:大序曲「1812年」
②チャイコフスキー:イタリア奇想曲
③ベートーヴェン:ウェリントンの勝利(戦争交響曲)
アンタル・ドラティ指揮
①②ミネアポリス交響楽団(現・ミネソタ管弦楽団)
①ミネアポリス大学ブラス・バンド
③ロンドン交響楽団
 
 ステレオ初期の「Mercury Living Presence」シリーズの一つ。1955年から60年にかけての録音になる。売り物は①③は実際の銃や教会の鐘を使用している点である。初演当時を再現したものということであろうか。古い割りには音もいい。その替わり、演奏の荒いのもわかってしまうという状態ではある。また、こういった鳴り物は、私には却って音楽鑑賞の妨げにしか思えなかったのが正直なところである。また、鳴り物に関する音声解説が①と③のあとのトラックにある。これはディームズ・テイラーが担当している。この人は1940年のディズニー映画「ファンタジア」のナレーターであり、音楽監修も担当していた評論家。しかし、10分も鳴り物のことを解説されては退屈きわりない。録音再生に凝っている人にはまたとないCDではあると思う。

①アーサー・バターワース:交響曲第1番 作品15
②ギップス:交響曲第2番 作品30
ダグラス・ボストック指揮 ミュンヘン交響楽団
 
 2曲とも世界初録音との表示がある。ボストックの初録音魔の面目躍如といったところだ。
 
 まず、アーサー・バターワースは1923年生まれで、ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団やハレ管弦楽団のトランペット奏者として活動、演奏活動はしだいにやめていって、作曲と指揮にシフトするようになった人のようである。この曲は1957年7月19日にチェルトンハム音楽祭でバルビローリの指揮で初演されたという。ひょっとして、作曲者はトランペット奏者として乗っていたのかもしれない。力強い感じで始まり、フルオーケストラを鳴らす音楽である。現代曲ながら保守的な書法で、難渋な感じではない。
 
 一方のギップスは1921年に生まれ、1999年に没した女流作曲家である。バターワースが4つの交響曲を書いているが、この人も5つの交響曲を書いている。また戦時中オーケストラのクラリネット奏者と結婚するも、夫が出征して、この人もバーミンガム市交響楽団でオーボエとイングリシュ・ホルンの奏者としても働いていたという。これもフルオーケストラを使っているが、1楽章制の20分強の曲で時折アグレシッヴなマーチ風になったり、民謡的な節回しがあったりとなかなか聴き応えのある作品だった。

 
 4月18日というと、二つの当たり日になる。
 まず、1942年にはドゥーリトル中佐率いるB25が空母から飛び立ち、東京を始め、川崎、横須賀、神戸を空襲した日だった。陸軍の爆撃機を海軍の空母から飛び立ったのだから、セクションを超えての協力ということになろうか。作戦的には無謀にも思えたが、日本に衝撃を与えたことは確かだった。その後焦りがミッドウェイ海戦の敗戦に繋がり、ひいては日本そのものの敗戦にも繋がった訳である。
 その衝撃を受けた中に連合艦隊司令長官の山本五十六もいた。その山本はちょうど1年後にブーゲンビル上空でP38の奇襲を受けて戦死している。これは象徴的な出来事であったろうと思う。
 
 
 

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