2014年03月

【曲目】
<CD1>
1-4.ベートーヴェン: 交響曲第1番ハ長調 Op.21
5.ヨハネス・マリア・シュタウト(1974-):「マナイ」(2011)
6-9.ベートーヴェン:交響曲第2番ニ長調 Op.36
10.望月京(1969-):「ニライ-ベートーヴェンの交響曲第2番&第6番へのインテルメッツォ」

<CD2>
1-4.ベートーヴェン:交響曲第3番変ホ長調 Op.55
5.ロディオン・シチェドリン(1932-):ベートーヴェンのハイリゲンシュタットの遺書-管弦楽のための交響的断章(2008)

<CD3>
1-4.ベートーヴェン:交響曲第4番変ロ長調 Op.60
5-8.ベートーヴェン:交響曲第5番ハ短調 Op.67
9-10.ラミンタ・シャルクシュニーテ(1975-):「炎」(2010)

<CD4>
1-5.ベートーヴェン:交響曲第6番ヘ長調 Op.68
6.ギア・カンチェリ(1935-):混声合唱と管弦楽のための「Dixi」(2009)

<CD5>
1-4.ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調 Op.92
5.イェルク・ヴィトマン(1973-):管弦楽のための演奏会用序曲「コンブリオ」(2008)
6-9.ベートーヴェン:交響曲第8番ヘ長調
Op.93

<CD6>
1-4.交響曲第9番ニ短調「合唱」Op.125

【演奏】
<CD6>
クリスティアーネ・カルク(ソプラノ)
藤村実穂子(アルト)
ミヒャエル・シャーデ(テノール)
ミヒャエル・ヴォッレ(バス)
バイエルン放送合唱団(ペーター・ダイクストラ…合唱指揮)
<CD1-6>
バイエルン放送交響楽団/マリス・ヤンソンス(指揮)

【録音】
<CD1>
2012年11月27日 サントリー・ホール…1-4, 6-9
2012年2月19日 ミュンヘン ヘラクレス・ザール…5
2012年11月8.9日 ミュンヘン ヘラクレス・ザール…10
<CD2>
2012年10月18.19日 ミュンヘン ヘラクレス・ザール…1-4
2008年12月18.19日 ミュンヘン フィルハーモニー・ガスタイク…5
<CD3>
2012年11月26日 サントリー・ホール…1-4
2012年11月27日 サントリー・ホール…5-8
2012年5月17.18日 ミュンヘン ヘラクレス・ザール…9-10
<CD4>
2012年11月8.9日 ミュンヘン ヘラクレス・ザール…1-5
2009年10月29.30日 ミュンヘン ヘラクレス・ザール…6
<CD5>
2012年11月30日 サントリー・ホール…1-4
2008年9月25.26日 ミュンヘン フィルハーモニー・ガスタイク…5
2012年12月1日 サントリー・ホール…6-9
<CD6>
2012年12月1日 サントリー・ホール
 
 マリス・ヤンソンスが手兵バイエルン放送交響楽団を率いて来日、ベートーヴェン・チクルスをやったという情報は入っていた。そしてその演奏が映像ソフトやCDになっていることも聞きつけてはいた。まあ、ベートーヴェンの交響曲だけだったら、もう他にもあって屋上に屋を架すような状況で興味は薄かった。ところが店頭で、目を凝らしてみると、上記のようなタイトルである。現代の作曲家たちがベートーヴェンの交響曲もしくはベートーヴェンそのものに触発されて書いた新作も併録されいるものを見つけた。
 
 ベートーヴェンは第6番以外は全てサントリー・ホールのライヴ、一方、現代曲は全て本国本拠でのライヴ録音と対照的な状態になっている。日本では序曲などを演奏したのかは、確認していない。少なくとも映像ものを見ると全て交響曲のみのプログラム。アンコールとして普段見慣れない曲はあるが、これらの現代曲ではなかった。
 
 一枚ずつ最初から丹念に聴いてみる。だいたいこういうBOXものはDISC1からではなく、ランダムに取り出すのだが、これは順番通りにしてみるつもりだ。だいたい交響曲はテンポが速く、もっと歌って欲しいと思う箇所もある。今回ヤンソンスによるベートーヴェンは初めてで他の機会の演奏は聴いたことがない。奇数番号のものはそれなりにメリハリがいいのだが、偶数番号はちょっと素っ気ない感じがした。一方、現代曲の方はベートーヴェンよりも大編成のものが多い。シチェドリンの作品のように保守的なものもあれば、若い作曲家たちはやはり前衛的な作風だ。女性作曲家二人の作品も収録、その一人は望月京(みやこ)という人だ。
 
 ヤンソンスはベートーヴェンに関連したものを現役の作曲家に委嘱して演奏している。そうしたいわば挑戦的な全集BOXなのかもしれない。

 日頃、映画キャメラマンに焦点を当てるというのは、あまりないと思う。宮川一夫といった名キャメラマンくらいしかフィルムセンターで特集を組まれることはまずないのではないか。
 
 その宮川氏が絶賛していた映画キャメラマンに平野好美という人がいる。戦後それも東宝争議後はほぼ新東宝の撮影所で活動していた人だ。中には溝口健二監督と田中絹代の畢生の代表作「西鶴一代女」の撮影を担当している。後は伊藤大輔監督の「下郎の首」もこの人が担当だった。日本映画データベースによると1929年あたりからキャリアが始まり、1962年で途切れている。戦前は中小のプロダクションを経て東宝に合流、そして争議で新東宝に移ったというキャリアだ。
 
 新東宝は初期は文芸ものなどもあったが、後半になるとエログロ路線に転換、そういう中にあって担当を淡々とこなしてきたという感じだ。1962年というと新東宝が倒産して、撮影所はTBSの傘下国際放映となる。ここは貸しスタジオとテレビ映画などを撮影していた。平野好美はなんと「忍者部隊月光」のいくつかのエピソードを担当しているのである。この子供向けのドラマはほぼ新東宝からの残党によるスタッフによって撮影されている。これには少々驚いた。
 
 前にこのキャメラマンのプロフィールを見たら、生死不明と記してあった。それが没年不詳に変わっている。どこでいつ亡くなったかも不明なのは、何とも悲しいことである。

Disc1
①メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲ホ短調 op.64  ピンカス・ズッカーマン(Vn)
②ドビュッシー:『海』~3つの交響的スケッチ
管弦楽:ケルン放送交響楽団
録音時期:1971年1月15日
録音場所:ケルン、ヴァルラフプラッツ・フンクハウス、クラウス・フォン・ビスマルク・ザール
録音方式:ステレオ(ライヴ)
Disc2
・ブラームス:交響曲第1番ハ短調 op.68
Disc3
①ハイドン:交響曲第94番ト長調 Hob.I:94『驚愕』
②ラヴェル:『マ・メール・ロワ』組曲
管弦楽:バイエルン放送交響楽団
録音時期:1979年1月26日
録音場所:ミュンヘン、ヘルクレスザール
録音方式:ステレオ(ライヴ)
Disc4
①ブゾーニ:『ファウスト博士』のための2つの習作 op.51(サラバンドとコルテージュ)
 録音時期:1971年1月11日
 録音場所:ケルン
 録音方式:ステレオ(ライヴ)
②フランク:交響詩『プシシェとエロス』
 録音時期:1971年1月15日
 録音場所:ケルン、ヴァルラフプラッツ・フンクハウス、クラウス・フォン・ビスマルク・ザール
 録音方式:ステレオ(ライヴ)
③ドヴォルザーク:交響曲第8番ト長調 op.88
 録音時期:1958年11月3日
 録音場所:ケルン
 録音方式:モノラル(ライヴ)
管弦楽:ケルン放送交響楽団
Disc5-6
・ロッシーニ:歌劇『セヴィリャの理髪師』全曲
ルイージ・アルヴァ(T アルマヴィーヴァ伯爵)
メルキオッレ・ルイーゼ(Bs バルトロ)
マリア・カラス(S ロジーナ)
ティト・ゴッピ(Br フィガロ)
ニコラ・ロッシ=レメーニ(Bs バジーリオ)
ピエールイージ・ラティヌッチ(Bs フィオレッロ)
アンナ・マリア・カナリ(S ベルタ)
ジュゼッペ・ネッシ(Bs 士官)
管弦楽&合唱:ミラノスカラ座管弦楽団・合唱団
録音時期:1956年2月16日
録音場所:ミラノ、スカラ座
録音方式:モノラル(ライヴ)
 
 通販サイトを見ると、ジュリーニのものがまとまってBOXになったものが各社から発売されるのが目立つ。よく考えてみると今年はこのマエストロの生誕100周年に当たるのだ。
 
 これはライヴ録音を集めたBOXで放送音源を基にしたものであろう。70年代はステレオで二つにまたがっているものの、一夜の演奏会の演目がそのまま収録されている。一方、50年代のものはモノラルで、最後のスカラ座でのものが一番経年劣化が目立つ。しかし、鑑賞には問題がなく、聴く者にはありがたいアルバムである。
 
 この名指揮者のいろいろな側面に触れられるのがまずありがたい。最後の「セヴィリアの理髪師」は当時の一流の歌手たちが共演していて、そちらも聴きものである。ジュリーニは演出家たちとソリが合わず、晩年はコンサート指揮者としての比重が増したのだが、まだ若い頃のオペラ指揮者としての一端が味わえるのはありがたい。

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 これは、1975年に行われた「阪妻映画祭」で上映された折に観た1本だった。大映の「王将」との2本立てだった。何でも二大スターである阪東妻三郎と大河内伝次郎が共演した唯一の作品でもあるという。
 
 残念ながら、前後篇を1本にまとめて話の筋がわからなくなった「総集編」という形でしか残っていないようだ。また「怪傑紫頭巾」と改題もされている。1953年に妻三郎が死去した折に、東宝が今の形にして追悼番組にしたようである。ファンからすれば、オリジナルの形で遺して欲しいと思うのだが、劇場の回転率からこういう措置になったのであろう。
 
 概要は佐渡島の金山奉行が部下に横領の罪をなすりつけ、時の権力者と結託した。それを謎の人物、紫頭巾が大目付に協力して成敗するというものである。二大スターの脇を沢村国太郎と加東大介が兄弟出演している。マキノ正博監督を応援する意味もあったのかもしれない。市川春代、宮城千賀子、逢初夢子などが顔を揃えている。
 
 原作は壽々喜多呂九平。企画は妻三郎が原作者の窮状をみかね、何とかならないかということから始まったらしい。そこは日本映画の父、牧野省三の縁に繋がる仲間の助け合いの要素があったようだ。今観ると何だと思われるかもしれないが、昔懐かしい時代劇のフォームを見るには適した作品と思う。姿形のいいこと、今の俳優には望めなくなった何かがある気がする。

・ムソルグスキー:歌劇『ホヴァーンシチナ』全曲

 パータ・ブルチュラーゼ(Bs:イヴァン・ホヴァーンスキー)
 クラウス・フローリアン・フォークト(T:アンドレイ・ホヴァーンスキー)
 ジョン・ダスザック(T:ワシーリー・ゴリーツィン)
 ヴァレリー・アレクセイエフ(Bs:シャクロヴィートゥイ)
 アナトーリ・コチェルガ(Bs:ドシフェイ)
 ドリス・ゾッフェル(Ms:マルファ)
 カミッラ・ニールンド(S:エンマ)
 バイエルン国立歌劇場合唱団
 バイエルン国立管弦楽団
 ケント・ナガノ(指揮)

 演出、装置:ディミトリ・チェルニャコフ

 収録時期:2007年7月10,14日
 収録場所:ミュンヘン、ナツィオナールテアーター(ライヴ)
 
 最近は珍しい演目も上演されてソフト化もされる。また、名門もあらゆる国のオペラを積極的にやるようになったような気がする。
 
 この未完のムスルグスキーの歌劇は前奏曲が「モスクワ河の夜明け」というタイトルで時折演奏されるのを聴くだけで、オペラ自体は知らなかった。ところがこうした形で出てくるのはありがたい。もっともこのオペラはいろいろな版があって、それぞれがまた違った感じのようである。今映像化になっているのは、ショスタコーヴィチが編曲編集した版ばかりのようだ。そして、ケント・ナガノが指揮することの公演は最後はスタrヴィンスキーがまとめ上げたものが使われている。他にリムスキー=コルサコフが編曲した版もある。
 
 舞台は読み替えがしてあり、雰囲気はソ連時代のような設定である。初心者としては台本に沿ったものが見たいのだが、仕方がない。残念ながら日本語字幕はなく、英語字幕で鑑賞している。
 

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