2015年09月

ペッテション:交響曲 第6番
マンフレート・トロヤーン指揮
ベルリン・ドイツ交響楽団
 
 これもたまたま第9番と同時に目についたので、同時に手に入れたものだ。演奏がベルリン・ドイツ交響楽団ということで、オケを信用して聴いてみることにしたわけである。
 
 第9番よりやや短く60分程度の作品。このCDはトラック割はない。これも凄く重い響きの音楽で気安く聴けるものではない。案の定、CPOは全集を組んでいるが、そこまではとても付き合えないないなというのが、今は正直なところ。全集の他単独販売もあるようだが、既に廃盤のものもあるようで、入手は困難なようだ。演奏団体もザールブルッケン放送交響楽団、ハンブルク国立フィルハーモニー管弦楽団、ベルリン放送交響楽団(旧・東独)などが演奏しているようだ。コメントを見ると、マニアックなファンもこの作曲家についているようだが、聴き終わって晴れやかな気分にはなれない稀有な作品群のようではある。

ペッテション:交響曲第9番
アラン・フランシス指揮 ベルリン・ドイツ交響楽団
録音:1993年8月9-13日

 通販のカタログを見て、やや妖しげな感じの曲があるなとみつけたアルバム。ペッテション(1911-80)は名前は耳にしたことはあっても、その作品は聴いたもとがなかった。ちゃんとこうして録音があることを知った。調べると17の交響曲があるも、第1番と第17番は途中放棄してしまって断片しかないという。それでも第1番は、現代のトロンボーンの名手であり、指揮にも手を染めているクリスチャン・リンドベルイによって補筆完成されているようである。こういう作曲家の作品を録音するのは、母国のBISか、ドイツのCPOくらいしかない。事実この2社が録音している。

 この第9番はCPO盤である。アラン・フランシスは、ミヨーの交響曲全集をCPOで完成させた指揮者で、こういうマイナーな作品をよく取り上げて録音してくれるありがたい存在なのである。今のところ、手許にはこの第9番と第6番しかないが、何か聴くと救いを感じられない音楽である。オーケストラがきしんで泣いているような作品。しかも楽章が分かれて切れ目があると思いきや、全て単一で延々と音楽が続く。この第9番もこの録音では69分52秒と記されているから、70分近く続く作品なのである。聴いていて沈み込んで行く気分になるから、体調によっては拷問状態になるのかもしれない。聴くのに骨は折れる。幸いCPO盤は区切りが付けてあるが、その表示が練習番号No.~の~小節前(or後)とか書いてある。こんな表示は初めてである。

 ペッテションの生涯も決して明るいものではなく、病気ばかりをして最後は癌で他界してしまう。マーラーの没した年に生まれているのは偶然だが、ネクラという言葉では軽い感じがする。年代的にはホヴァネスやニーノ・ロータといった作曲家がいる。時代環境ではなく、あくまでこの人のパーソナリティなのだろう。

ロト&レ・シエクル、クルレンツィス&ムジカエテルナ、あるいはインマゼール、ヘレヴェッヘら巨匠勢・・・時代考証型の演奏で後期ロマン派以降の音楽に迫ろうとするオーケストラや指揮者が増えつつある近年ですが、使用楽器への徹底したこだわりだけでなく、オーケストラの規模や演奏会場の音響環境にまで意識を向けて活動しているハーゼルベック&ウィーン・アカデミー管の快進撃は、19世紀半ばにオーケストラ音楽の概念を静かに塗り替えていったひとりであるリスト作品の演奏解釈において、地に足の着いたポテンシャルの高い演奏を通じ、圧倒的な成果をあげました。完全解説訳付で相次いで日本発売されたNCAレーベルの名盤群に続き、なんと彼らは(第1弾録音がレコ芸準特選に輝いたベートーヴェン交響曲集に続き)Alphaでこのプロジェクトを継続! シューベルト作品の編曲、とくに『さすらい人幻想曲』の協奏的編曲を中軸に据えたこの新録音で、交響詩以外のリストの音世界へと迫ります。
 演奏会場は、リストが音楽監督として指揮をしていたヴァイマール宮廷楽団と同じ員数、その演奏会場だった宮廷劇場と同じ音響環境にあわせたというライディング(リストの生地)のリスト・センター音楽堂での収録。解説訳付、お見逃しなく!(Mercury)

【収録情報】
シューベルト/リスト編:
1. 騎士の行進曲(2つの個性的な行進曲 D.888より)
2. 葬送行進曲(6つの大行進曲 D.819, /op.40より)
3. ハンガリー風行進曲(ハンガリー風ディヴェルティスマン D.818, op.54より)
4. 『さすらい人』幻想曲 D.760, op.15~ピアノと管弦楽のための  

  ゴットリープ・ヴァリシュ(フォルテピアノ/J.B.シュトライヒャー1851年製:4)
リスト:
5. 2つの葬送頌歌 S.112(死者たち/夜)
6. 風にはためく王の旗~十字架讃歌 S.185    世界初録音

マルティン・ハーゼルベック指揮 ウィーン・アカデミック管弦楽団
録音場所:オーストリア、ライディング、リスト・センター音楽堂
録音方式:ステレオ(デジタル)

 またもや変わったアルバムを見つけた。我ながらこうした嗅覚だけはあるようである。リストがいろいろと編曲を手掛けているのは知っていたが、これだけまとまっているのは珍しい。しかも存命当時の楽器と奏法によるものらしい。ビブラートもないし、音もやや軽く聴こえる。あまりこうした考証には興味はないのだが、リストがシューベルトの作品をどう味付けしているかは大いに気になる。「さすらい人」幻想曲だけは時折録音も見かけるが、他は全て初めての体験だ。有名な「魔王」の伴奏のオーケストレーションもリストはやっているが、こうしてピアノ曲のオーケストレーションもかなりやっていることがわかった。自作も最後の作品は最近まで陽の目を見なかったものという。

 ありがたいことに翻訳ながら日本語解説がついている。ただ奏者一覧は何故か漏れている人もいて、不正確なようだ。となると翻訳も正確なのかやや不安になる。今は解説を小さな文字で読むのは日本語でも億劫になりつつある。

<CD1>
[1]アメリカ合衆国国歌*
[2]ジョン・D・ロックフェラー3世によるスピーチ*
ベートーヴェン
[3]ミサ・ソレムニス~グローリア*
コープランド
[4]コノテーションズ(内包)[世界初演]
<CD2>
ヴォーン=ウィリアムズ
[5]音楽へのセレナード
マーラー
[6]交響曲第8番 変ホ長調 「千人の交響曲」~第1部「来たれ、創造主なる聖霊よ」
[7]交響曲第5番 嬰ハ短調~第4楽章「アダージェット」

*世界初CD化

【演奏】
レナード・バーンスタイン(指揮)
ニューヨーク・フィルハーモニック[1][3]-[6]
ニューヨーク・フィルハーモニックのメンバー[7]

アイリーン・ファーレル(ソプラノ)[3][5]
アデーレ・アディソン(ソプラノ)[5][6]
ルシーヌ・アマーラ(ソプラノ)[5][6]
シャーリー・ヴァーレット(メッゾ・ソプラノ)[3][5]
リリー・チューカシアン(メッゾ・ソプラノ)[5][6]
ジェニー・トゥーレル(メッゾ・ソプラノ)[5][6]
ジョン・ヴィッカース(テノール)[3][5]
チャールズ・ブレッスラー(テノール)[5]
リチャード・タッカー(テノール)[5][6]
ドナルド・ベル(バス・バリトン)[3][5]
エツィオ・フラジェルロ(バス・バリトン)[5][6]
ジョージ・ロンドン(バス・バリトン)[5][6]

ニューヨーク・スコラ・カントルム[合唱指揮:ヒュー・ロス][1][3][6]
ジュリアード・コーラス[合唱指揮:エイブラハム・キャプラン][1][3][6]
コロンバス少年合唱団[合唱指揮:ドナルド・ブライアント][6]

【録音】
[1]-[6]1962年9月23日、ニューヨーク、リンカーン・センター、フィルハーモニック・ホール[現エイヴェリー・フィッシャー・ホール]でのライヴ・レコーディング
[7]1968年6月8日、ニューヨーク、聖パトリック教会でのロバート・ケネディ追悼ミサでのライヴ・レコーディング
ADD/STEREO

 久しぶりにリンカーン・センターのこけら落としのガラコンサートの実況録音を取り出してみる。いろいろな作曲家や作品が並んで、言ってみれば音のカタログみたいなのが、ガラコーンサートの印象だ。ベートーヴェンあり、英米の作曲家作品あり、マーラーもあったりする。

 ここで一番の目玉はマーラーの第8番の第一部だろう。カタログを見てもNYPのこの曲の録音は1950年のストコフスキーとの共演したライヴくらいしかない。アメリカのマーラー・オーケストラを任ぜられている楽団にしては意外な成り行きだ。バーンスタインもCBSのセッションはLSOだし、DGの方はVPOのものしかない。そういう意味では貴重な記録ではある。

 イスラム教徒が年に一度の巡礼の時期らしい。ハッジというのだそうだが、そこで将棋倒しになって少なくとも220人が亡くなったという。巡礼に行くのは何らかの御利益があるからか、何かの願いがあるのだろうが、こんな事故に遭遇して命を落としては何もならない。本当に冗談ではない話である。

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