2016年06月

【曲目】
カデル・ベラルビ:バレエ《死せる女王》2幕
トゥールーズ・キャピトル・バレエ
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
《特典映像》キャスト・ギャラリー

【演奏】
フェランテ王…アートム・マクサコフ
イネス・デ・カストロ…マリア・グティエレス
ドン・ペドロ…ダヴィット・ガルスティアン
子供…ジュリエッテ・テリン
カデル・ベラルビ(振付&演出)
ブルーノ・デ・ラヴェネレ(デザイン)
オリヴィエ・ベリオ(衣装)
シルヴァイン・シェヴァロット(照明デザイン)
トゥールーズ・カピトール国立管弦楽団
コーエン・ケッセルス(指揮)
ルク・リオロン(映像ディレクター)
ファビエンヌ・セルヴァン・シュライバー&ローレンス・ミラー(プロデュース)

【収録】
2015年2月28日 カピトール劇場、トゥールーズ

>2011年にトゥールーズ・キャピトル・バレエのために製作されたバレエ《死せる女王》は、14世紀に実在した女王イネス・デ・カストロを巡る物語です。フランスの小説家アンリ・ミロン・ド・モンテルランの同名の戯曲が元になっており、ポルトガルの王子ドン・ペドロとその恋人イネス・デ・カストロの悲恋が描かれたものです。彼女はドン・ペドロから寵愛を受け、すでに子供もいるのですが、ドン・ペドロの父であるフェランテ王は2人の仲を決してゆるすことはありません。一度は子供(王の孫にあたる)の顔を見て彼女の処刑を思い留まる王ですが、側近たちにそそのかされ、結局は彼女の処刑を執行してしまいます。その処遇に対して怒りを爆発させたドン・ペドロは王に対して反乱を起こすこととなります。最終的にペドロが王位についた際、イネスの名誉を復権させ彼女は正式に王妃として認められるのですが、このバレエは、鬼才ベラルビ(1962-)によって、ここに至るまでの2人の夢や幻影を現実と絡めながら美しく描かれていきます。(発売元コメント)

 チャイコフスキーにこうしたバレエがあったのかなと少々いぶかりながら、興味を持ったソフト。多分、チャイコフスキーの作品を再編集してバレエに仕立てたものだろうという推測だったが、的中だった。要するにショパンの「ル・シルフィード」のような演目なのである。内容はしかしかなりドラマティックである。

 使用されているのは管弦楽のための組曲を中心に、イタリア奇想曲、「ロミオとジュリエット」「ハムレット」「フランチェスカ・ダ・リミニ」を再編集して使っている。場面にあった音楽をあてはめていて、これはこれで面白いと思った。出演者の中には日本人のダンサー4人も参加している。

【収録曲】
<DISC1>
1. ブラームス:交響曲第2番 ニ長調 作品73
2. ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲 作品56a
3. ウェーバー:オペラ《オイリアンテ》序曲 J.291
4. スメタナ:交響詩《ボヘミアの森と草原より》~連作交響詩《わが祖国》より
<DISC2>
5. シューベルト:交響曲第8番 ロ短調 D759 《未完成》
6. モーツァルト:セレナード《アイネ・クライネ・ナハトムジーク》
7. ビゼー:《アルルの女》組曲第1番、
8. ビゼー:《アルルの女》組曲第2番

【演奏】
バンベルク交響楽団
ルドルフ・ケンペ(指揮)

【録音】
1963年6月4-10日、 バンベルク

【原盤】
eurodisc

 オイロディスクというレーベルは地味な存在で発売元もいろいろな会社がやっていたが、最近は日本コロムビアになっているみたいだ。ケンペはバンベルク交響楽団で常任指揮者だったが、これが当レーベル全てのものというから意外と少ない。他のレーベルにはスメタナの歌劇「売られた花嫁」全曲とヘンデルの「王宮の花火の音楽」があるだけらしいから、余計に驚く。

 さて、この中でメインはブラームスの第2番だろう。後年のミュンヘン・フィルとの録音がある。こちらも持っているが、残念ながらしばらく聴いておらずどんな演奏だったか、覚えていない。ドイツらしい演奏だったことは確かだ。こちらもドイツのオケなので似たような傾向ではないかと思うが、とりすましたような感じのものではなくローカル色をたたえたもので、どこか普段着のような音楽のように聴こえる。素朴な味わいといったらいいだろうか。シューベルトの未完成も同じくである。

 珍しいのは最後のビゼーの「アルルの女」の二つの組曲。これもどちらかというと泥臭い感じがする。フランスのアンサンブルのように洗練された音楽になっていない。幾分アクセントが強いような印象も受ける。アルトサオクソフォーンも太い音を要求しているようだ。ケンペがフランスものを振るのは珍しいような気がする。

【曲目】
(1)ストラヴィンスキー:交響詩「ナイチンゲールの歌」【録音:1960年2月25日/アムステルダム(ライヴ)】
(2)バルトーク:ヴァイオリン協奏曲第1番【録音:1966年6月29日/アムステルダム(ライヴ)】
(3)ドビュッシー:バレエ音楽「遊戯」【録音:1961年7月6日/アムステルダム(ライヴ)】
(4)ストラヴィンスキー:管楽器のための交響曲【録音:1962年/スタジオ録音(パリ)】
(5)同:12 楽器のためのコンチェルティーノ【録音:1962年/スタジオ録音(パリ)】
(6)ブーレーズ:カンタータ「水の中の太陽」【録音:1964年9月27日/スタジオ録音(ロンドン、アビーロード・スタジオ)】

【演奏】
ユーディ・メニューイン(Vn)(2)、ピエール・ブーレーズ(指揮)ロイヤルコンセルトヘボウ管弦楽団(1)(2)(3)、
ドメーヌ・ミュジカル(4)(5)、
ジョゼフィーヌ・ネンディック(Sop)、ルイス・デヴォス(Ten)、バリー・マクダニエル(Br)、BBC交響楽団& 同合唱団(6)

 1960~66年にかけての活動の一端を示したアルバム。よく調べたらACOとのライヴ録音はACOの自主制作BOXにも同一音源があって重複所持になるが、後半の3曲は初めてみる演奏。しかも最後の自作のカンタータは他に録音がないようで貴重なもののようだ。どれもリズムが面白い。

【曲目】
ベートーヴェン
DISC 1
1.交響曲 第1番 ハ長調 作品21
2.交響曲 第2番 ニ長調 作品36
DISC 2
3.交響曲 第3番 変ホ長調 作品55 「英雄」
4.交響曲 第4番 変ロ長調 作品60
DISC 3
5.交響曲 第5番 ハ短調 作品67
6.交響曲 第6番 ヘ長調 作品68 「田園」
DISC 4
7.交響曲 第7番 イ長調 作品92
8.交響曲 第8番 ヘ長調 作品93
DISC 5
9.交響曲 第9番 ニ短調 作品125 「合唱」

9.
アデーレ・アディソン(ソプラノ)
ジェーン・ホブソン(メッゾ・ソプラノ)
リチャード・ルイス(テノール)
ドナルド・ベル(バリトン)
クリーヴランド管弦楽団合唱団
合唱指揮:ロバート・ショウ
クリーヴランド管弦楽団
指揮:ジョージ・セル

【録音】
第1番:1964年10月2日
第2番:1964年10月23日
第3番:1957年2月22日&23日
第4番:1963年4月5日
第5番:1963年10月11日&25日
第6番:1962年1月20日&21日
第7番:1959年10月29日&30日
第8番:1961年4月15日
第9番:1961年4月21日&22日
クリーヴランド、セヴェランス・ホール

[プロデューサー]
ポール・マイヤース(第1番・第2番・第4番・第5番)
ハワード・H・スコット(第3番・第7番・第8番・第9番)
トーマス・フロスト(第6番)
【曲目】
1.「エグモント」 序曲 作品84
2.「コリオラン」 序曲 作品62
3.「シュテファン王」 序曲 作品117
4.歌劇「フィデリオ」 序曲 作品72b
5.「レオノーレ」 序曲 第1番 作品138
6.「レオノーレ」 序曲 第2番 作品72b
7.「レオノーレ」 序曲 第3番 作品72

【演奏】
クリーヴランド管弦楽団
指揮:ジョージ・セル

【録音】
エグモント、レオノーレ第2番:1966年10月8日、
コリオラン、シュテファン王:1966年10月29日、
レオノーレ第3番:1963年4月5日、
クリーヴランド、セヴェランス・ホール
レオノーレ第1番、フィデリオ:1967年8月25日、ロンドン

[プロデューサー]ポール・マイヤース
 
 最近ラトルとBPOの全集が手に入ったばかりなのに、もう同じようなものを購入するという自分にいささか呆れているが、実はラトル盤は急に思いついたのであり、発注はこちらが先だった。
 
 上の記録によると交響曲は1957年から64までの7年をかけて全集をなしている。序曲は交響曲の補完するように後からの録音となっている。既発のアルバムでは交響曲と組み合わせて出ていたりするが、オリジナルのLPはほぼ序曲だけに絞ったものになっていたようだ。またオリジナルのジャケットがあしらってあり、実は彼らはワルターとかバーンスタインとは専属関係がやや異なり、CBSグループのエピックというレーベルとの契約だったこともわかり、資料的にも貴重だ。セルがNYPにたびたび客演しながら、正式なセンッション録音が少ないのはこうしたことがあったのかもしれない。
 
 さて、従来のCDを全て聴いていないので、何とも比較はできないが、この当時のものとしては鮮明なものであるのが驚く。中にはしくじった箇所もはっきりわかったりして面白い。妙に完全無欠というのも逆に面白くないと思う天邪鬼かもしれないが。しかし、セルの厳しい訓練の下、バランスの取れた演奏ぶりには感心させられる。時折、テンポを変化させるのはセル独特の解釈なのか、これもまた一興である。ラトルのような素っ気なさはなく、通常の耳慣れた響きであった。思わぬところで新旧の対比が出来た。

【曲目】
<CD1>
1.レクイエム・エテルナム
2.ディエス・イレ
3.オッフェルトリウム

<CD2>
1.サンクトゥス
2.アニュス・デイ
3.リベラ・メ

【演奏】
エミリー・マギー(ソプラノ)
マーク・パドモア(テノール)
クリスティアン・ゲルハーエル(バリトン)
マックス・ハンフト(オルガン)
テルツ少年合唱団

バイエルン放送管弦楽団&合唱団
マリス・ヤンソンス(指揮)

【録音】
2013年3月13-15日 ミュンヘンフォルハーモニー・ガスタイク
 
 この曲は新しい録音が出て、興味のある指揮者だと何故か買ってしまうクセがついてしまった。作曲者自身の自作自演を始め数種類を持っている上に、今や熟練の指揮者となったマリス・ヤンソンスのものが出たから、手を出してしまった。
 
 一般には二人の指揮者が立つこともあるが、ヤンソンスは一人でこなしている。混声合唱が経典通りにラテン語で歌唱。これに天の声のソプラノと児童合唱が加わる。一方テノールとバリトンは英語歌唱で、第一次大戦で戦死したウィルフレッド・オーエンの詩を歌う。伴奏はラテン語歌唱の方が大編成の管弦楽とオルガン、英語歌唱の方は少人数のアンサンブルに分かれているのがユニークなところ。二人の指揮者とは大オーケストラと室内オーケストラを分担するということである。今もブリテンが想定した歌手3人を迎えたデッカ盤が燦然とした存在感を出しているが、シニカルな感じのするその自演盤はどことなくとっつきにくい感じも覚える。マズア、ラインスドルフ(映像)、ラトルと聴いてきたが、このヤンソンスのものは心なしか少しわかりやすく感じられた。スッキリ感がある。デッカ盤の当時はまだ第二次大戦の記憶が生々しかったせいもあるのかもしれない。

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