2017年05月

「ミッコ・フラン...」の画像検索結果
【収録曲】
1) ラヴェル: 歌劇「子供と魔法」
2) ドビュッシー:カンタータ「放蕩息子」
3) ドビュッシー: 交響曲 ロ短調(オーケストレーション=コリン・マシューズ)よりフィナーレ
【演奏】
ミッコ・フランク(指揮)
フランス放送フィルハーモニー管弦楽団
1)
クロエ・ブリオ(メゾ・ソプラノ:子供)
ナタリー・シュトゥッツマン(コントラルト:マ、カップ、トンボ)
サビーヌ・ドゥヴィエル(ソプラノ:火、お姫さま、ウグイス)
ジョディ・ドゥヴォー(ソプラノ:コウモリ、フクロウ、羊飼いの娘)
ジュリー・パスチュロー(メゾ・ソプラノ:安楽椅子、雌猫、リス、羊飼いの男)
フランソワ・ピオリーノ(テノール:ティーポット、小さな老人、雨蛙)
ジャン=フランソワ・ラポワント(バリトン:雄猫、大時計)
ニコラ・クルジャル(バス:ソファー、木)
フランス放送合唱団
2)
カリーナ・ゴーヴァン(ソプラノ:リヤ)
ロベルト・アラーニャ(テノール:アザエル)
ジャン=フランソワ・ラポワント(バリトン:シモン)
【録音】
2016年4月15日、パリ、フランス放送オーディトリウム(ライヴ:デジタル)
 
 珍しいフランスの3作品を収録したもの。ラヴェルのオペラは割と録音や映像ソフトはあるようだが、ドビュッシーの方は今回初めて接する作品である。まだ初期で荒削りではあるし、独特の透明感もまだあまりない。むしろ、心酔していたワーグナーの音楽に近いような感じもしないではない。
 

「雪之丞変化 映...」の画像検索結果
 
 午前十時の映画祭も8回目になるようだ。最近は邦画作品も組まれている。今回も市川崑や黒澤明、小津安二郎の作品が組まれている。4Kのデジタル方式による上映で本来のいい状態で観られる。市川作品は「雪之丞変化」で作品自体は以前記事にしている。
 
 今はこの作品はBDにもなって販売されているが、こういう古色蒼然とした映画をデジタル方式で観るとは思いもよらなかった。映画館のスクリーンでは今回も含めて3回観ている。最初はフィルムセンターで確か「長谷川一夫作品特集」という企画。当時新たに収蔵されたばかりの頃で状態は良かった。次は市川崑監督作品特集を名画座でやっていたが、褪色はさほどでもなかったが、コマ飛びのあるプリントだった。そして今回のデジタル上映。大映マークに先立ってソニー4Kデジタルのロゴが出る。色は幾分落ち着いたもので、やや暗めのトーンだった。大映カラーの独特の雰囲気で、東映の人工的なカラーや東宝のカラーとも違う。市川崑監督自体が発色にも拘る人だったから、余計に際立っていたのかもしれない。「おとうと」では銀残しという手法でカラーとモノクロの中間を狙ったような色合いだった。これは80年代になると「幸福」でも応用されていた。
 
 話は古色蒼然としたものを市川崑監督らしい味付けでリメイクしたもの。長谷川一夫はそのやり方に戸惑いがあったのか、監督の進め方に不満があったようだ。当時の映画雑誌にはユーモアが不足していて、まだまだ欧米作品に及ばないと批判しているインタビュー記事が載っていたのを目にしたことがある。長谷川一夫は大の洋画ファンでかつ大映の重役でもあった。役者の我儘とどう折り合いをつけたのだろうか。長谷川一夫もやはり市川監督の世界に組み込まれた感じはした。暗闇で刀と刀が渡り合って火花が散るといった演出や、画面の隅に小さく人物が映ったり、俯瞰で人間がうごめくようにして移動する様などはまさしくこの監督独特のもの。これを旧作の1935年の衣笠貞之助監督作品を知る人は大いに戸惑ったことだろう。余計なことをするな、とぐらいのことは思ったかもしれない。残念ながら1935年版は総集編版しか残っていないので、何とも云えないが、オーソドックスに作っていては面白くないと思い、こうなったのだろう。冒頭、東海林太郎が歌う主題歌がほんのさわりだけ流れるが、以後まったく流れない。タイトルは音楽のないまま芝居進行のうちに出てくる。そして最後、徳川夢声のナレーション。ラジオで「宮本武蔵」の朗読などで有名な人で、元活動弁士で俳優もした人だ。たった数分のナレーションながら、そのうまさには惚れ惚れとする。後は中村鴈治郎の貫録。これらだけでもこの作品は観る甲斐はあると思っている。

「シャルル・ミュ...」の画像検索結果
収録情報】
リヒャルト・シュトラウス:
1. 交響詩『英雄の生涯』 Op.40(録音:1957年2月15日)
2. 交響詩『ドン・ファン』 Op.20(録音:1955年9月30日)
3. 家庭交響曲 Op.53(録音:1959年2月28日)
4. 交響詩『死と浄化(変容)』 Op.24(録音:1951年6月10日)
5. 交響詩『ドン・キホーテ』 Op.35(録音:1953年8月9日)     グレゴール・ピアティゴルスキー(チェロ)
6. 管弦楽伴奏による歌曲集(4曲)(録音:1954年11月12日)   イルムガルト・ゼーフリート(ソプラノ:)
シャルル・ミュンシュ(指揮) ボストン交響楽団
録音方式:モノラル(1,2,4-6)、ステレオ:3/ライヴ
 
>リヒャルト・シュトラウスの指揮の下でもヴァイオリニストとして演奏経験のあるミュンシュ。ボストン響黄金時代の輝かしいサウンドとパワーを最大に生かした華麗なライヴがセット化。『英雄の生涯』は指揮者がオケを鼓舞し、大声を上げて緊張感を高めるミュンシュらしい豪快な演奏、正しく英雄的。『家庭』はミュンシュがスタジオ録音を遺さなかったレパートリーで、しかもステレオ録音という有難さ。何故にシュトラウスがオペラの情景のような交響曲を作ったかが判るドラマティックな内容です。ボストン響首席のジョゼフ・ド・パスクワーレがヴィオラ独奏、ピアティゴルスキーがチェロ独奏を務める『ドン・キホーテ』も素晴らしい出来栄え。この直後にスタジオ録音しておりますが、聴衆の熱い視線を浴びた演奏の迫力には凄いものがあります。ゼーフリートとのしみじみ感たっぷりの歌曲集も感銘深いものです。(輸入元情報)

 イタリアのメモリーズというヒシトリカル専門のレーベルから出たミュンシュのライヴ実況盤である。RCAへは盛んに録音したものの、どちらかというとマイナーなレパートリーで録音は多くない。それでもピアティルゴルスキーをソリストに迎えた「ドン・キホーテ」はセッション録音をこの直後行っていて、カタログでも現役である。この中でステレオ収録になっている家庭交響曲はセッション録音しなかったと云われている。上記の演奏は「ドン・キホーテ」以外はBSOの本拠地であるシンフォニー・ホール。唯一の例外である「ドン・キホーテ」はタングルウッドのミュージック・センターでのライヴと記されている。
 
 ミュンシュは即興の人で打合せとは違うことをやる人である。そして、かなり興奮しながら指揮するひとでもある。来日公演の映像を観るともう我を忘れたような指揮ぶりに引いてしまうが、ここでもクライマックスに達すると奇声を発しているのが聞き取れる。大編成の曲でモノラルが殆どなのは残念だが、鑑賞にはいい条件の録音だると思う。

「ヘルマン・アー...」の画像検索結果
(収録内容)
①ブラームス:交響曲第1番ハ短調作品68        January 16,1956
②シューマン:交響曲第1番変ロ長調作品38「春」     September 18,1955
ヘルマン・アーベントロート指揮
①バイエルン国立管弦楽団 ②ベルリン放送交響楽団

 アーベントロートの最晩年の録音が出てきた。普段多く出ていたライプツィヒ放送交響楽団ではない楽団を振っているのが目に留ったのだ。このうち、シューマンの方は当時常任していた楽団だが、ブラームスの方は西側でミュンヘンを本拠とする楽団との共演が面白いと思ったのだ。そして演奏自体ものけぞるような演奏でまさに怪演というべきか。とにかくテンポが速い。殊にフィナーレは顕著で、オーケストラの方も戸惑っているように聴こえる。リハでの打合せとは違った即興的なことをやっているのかもしれない。枯れた演奏なんぞ、やらないと宣言しているようなものだ。これがこの巨匠の死の4カ月前のものだ。シューマンの方は幾分、オケの方がクセを知っているのか、戸惑いみたいなものは感じられなかったが、こちらも他の演奏に比べると速い感じがする。

 この人はフランクフルト・アム・マインの出身だから、ドイツの西部に生まれて、学んだ人。たまたま赴任したのが東ドイツになったライプツィヒとかワイマールだったというだけにすぎなかったということらしい。政治的な背景はあまり感じられない。普段は自転車で町を移動していたらしく、市民にも親しまれていたという。イェナに客演した時に急死、葬儀は本当に敬愛されていた人物だったのがわかるようなものだったという。まだ、国家的には分断されていたが、国境には壁もなく、比較的二つのドイツは往来できた。どうしてもウルブリヒトがベルリンや東西国境に強固な壁を設けたイメージが強いので、①なんかは奇異に感じるが、この当時は自由に行けたのである。そうしたことを物語る録音でもある。

 音質はモノラルではいい部類だ。ターラはオーナーが亡くなって休止しているらしいが、アルトゥスがオーナーの未亡人に了解を得て、出したものだという。ファンとしてはありがたいと思う。

「パーヴォヤルヴ...」の画像検索結果
①シベリウス:交響曲第2番ニ長調作品43
②トゥビン:交響曲第5番ロ短調
パーヴォ・ヤルヴィ指揮 シンシナティ交響楽団
録音日時:2001年12月1-2日
場所:ミュージュック・ホール、シンシナティ
 
 今、NHK交響楽団の常任として日本でも馴染深くなった指揮者のごく初期の録音である。写真をみると毛髪がある!この当時、父君のネーメ・ヤルヴィが注目されて、録音が多く出回った頃で、その息子はどうかという感じだったと思う。テラークへの録音は今まとまってBOXに出てきているが、既に所持しているものもあって、単売品を探したらまだカタログに残っていた1枚である。注目断然②のトゥビンという作曲家の作品。BOXで珍しい作品を録音していると知った。上述のように重複が嫌だったので購入は取り止めたが、トゥビンは気になったので、単独のものを探したらあったのである。
 
 ヤルヴィにとってはお国ものである。父君も取り上げて録音も存在していることがこの度わかった。1905年生まれで1982年に没した現代のエストニアの作曲家だが、割と保守的な構成で聴きやすい。北欧やエストニアのオケではなく、アメリカのメジャーが演奏しているところも珍しい。音はこの会社独特のシステムでいろいろと細かいところまで聴こえる録音である。またトゥビンの他の交響曲を聴いてみたくなったという悪い病気が発症したようだ。ただ入手は少し困難なようだ。

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