2017年08月

交響曲第2番(BBC放送日:1990年1月19日)
交響曲第11番 《ジョージ・フルーム・タイラーの思い出に》(BBC放送日:1990年3月30日)

ブライデン・トムソン指揮 BBCウェールズ交響楽団

>20世紀中期のウェールズにおける最大の作曲家とされており、複合拍子(Complex Metres)の考案者としても知られるダニエル・ジョーンズ(1912-1993)。
 交響曲集第4弾は、複雑なリズムを重視し叙情的な要素と舞曲的要素を兼ね備える交響曲第2番(1951年に自身の指揮で初演)と、スウォンジー音楽祭の委嘱により作曲された交響曲第11番(1984年チャールズ・グローヴズ指揮で初演)の2つの交響曲を収録。
 第11番は副題の通り、ダニエル・ジョーンズの友人であり、スウォンジー音楽祭の会長を務めたジョージ・フルーム・タイラー(1983年没)へと捧げられています。(発売元コメント)

 イギリス音楽と一言でいっても、言うまでもなくその領域は広い。ついこの間までこのダニエル・ジョーンズという作曲家を知らなかった。このLyritaというレーベルは休止状態が長かったようだが、またこうしたあらたな作曲家を特集しだしている。これがなんと第4弾というから調べてみると、他の交響曲が出ていて、第12番は準備中とのことだ。つまりこの人の交響曲全集になるようである。現代曲ながら、外観的には聴きやすく、保守的な感じがするが、実際はどうか。リズムはかなり複雑そうで演奏は難しいようにも思える。好みの音楽の部類に入るので出会えて良かったと思っている。
「ダニエル・ジョ...」の画像検索結果

「ムラヴィンスキ...」の画像検索結果
【曲目】
CD1
チャイコフスキー:バレエ音楽「眠りの森の美女」(全11曲)
【序奏。カラボス~リラの精/踊りの情景/パ・ド・シス/終曲/ワルツ/パ・ダクシオン(バラのアダージョ)/パノラマ/パ・ド・カトル/パ・ド・カラクテール(長靴をはいた猫)/パ・ド・カトル(青い鳥とフロリーネ姫)/パ・ド・ドゥ】
[録音:1948年4月4日]
J.S.バッハ:管弦楽組曲第2番ロ短調BWV1067【ボリス・トリズノ(フルート)】 [録音:1961年11月21日]

CD2
ウェーバー:「オイリアンテ」序曲 [録音:1948年4月4日]
同:「魔弾の射手」序曲 [ソヴィエト国立交響楽団 録音:1945年]
同(ワインガルトナー編):舞踏への勧誘 [録音:1951年1月2日]
チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調Op.64 [録音:1948年]

CD3
ワーグナー:「タンホイザー」序曲/ジークフリートの葬送行進曲/ワルキューレの騎行 [録音:1958年12月8日]
チャイコフスキー:交響曲第4番ヘ短調Op.36 [録音:1957年]

CD4
スクリャービン:法悦の詩Op.54 [録音:1958年12月22日]
カリンニコフ:交響曲第2番イ長調 [録音:1953年2月2日]

CD5
ブルックナー:交響曲第8番ハ短調(ハース版) [録音:1959 年7月24日]

CD6
ショスタコーヴィチ:交響曲第8番ハ短調Op.65 [録音:1947年6月2日]

【演奏】
エフゲニー・ムラヴィンスキー(指揮) レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団

>最初期の1940-50年代のものが集められていて貴重。チャイコフスキーの「眠りの森の美女」は有名どころを11曲も披露してくれてうれしい限り。ムラヴィンスキーのみずみずしい若さを感じられる名演です。
嬉しいのはブルックナーの交響曲第8番、カリンニコフの2番、そして当時最新だったショスタコーヴィチの交響曲第8番なども貴重。かつてのロシアン・ディスクなどより格段に音質が良くなっているのが感激です。
ムラヴィンスキー十八番のチャイコフスキーの交響曲第5番は、彼の数ある同曲のなかでも最初の全曲録音。録音された頃には悪名高い「ジダーノフ批判」があり、ショスタコーヴィチらムラヴィンスキーの同時代作曲家たちが糾弾された地獄の時代でした。そうした空気への反抗のエネルギーが感じられる演奏となっています。
大半は入手困難なうえ、新音源を用いているため大歓迎。さらに驚きの価格で、新たなムラヴィンスキーの名盤の登場となります。
キングインターナショナル

 そのほとんどはモノラル録音ながら、聴きやすく透明感のある音質には少々驚いた。一つだけ、手兵のレニングラード・フィルではなく、ソヴィエト国立交響楽団の演奏があるが、くしくもこの二つの楽団の実力の差を示された形になっている。このモスクワのオケは前々からあまり評判はよくなかったのだが、たった1曲の序曲でも他の演奏よりも荒いのである。弦セクションの揃いが今一つで、レニングラード・フィルの凄さを逆に思い知った感じだ。ただ、このオケのホルンのソロの音色なんかは好みではない。

「アンタル・ドラ...」の画像検索結果
CD1
①スメタナ:交響詩「モルダウ」
②ドヴォルザーク:スラブ狂詩曲ニ長調作品45の1
③ドヴォルザーク:スラブ狂詩曲ト短調作品45の2
④ドヴォルザーク:スラブ狂詩曲変イ長調作品45の3
⑤アンロー:狂詩曲「ピート・ハイン」
⑥メンデルスゾーン:「静かな海と楽しい航海」序曲
CD2
①シューベルト:イタリア風序曲
②ウェーバー:歌劇「魔弾の射手」序曲
③ウェーバー:歌劇「オベロン」序曲
④ウェーバー:歌劇「オイリアンテ」序曲
⑤ウェーバー:劇付随音楽「プレシオーザ」序曲
⑥ベルリオーズ:劇的交響曲「ロミオとジュリエット」より 愛の場面
⑦ベルリオーズ:劇的音楽「ファウストの劫罰」より 鬼火のメヌエット、妖精の踊り、ハンガリー行進曲
⑧エルガー:行進曲「威風堂々」第1番
アンタル・ドラティ指揮 アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団(1)④⑤ハーグ・レジデンティ管弦楽団

 デッカとなっているが、フィリップスが初出した録音のようである。こうした小品なんかは安心して聴けるのだが、中にはオケのお国ものがそれとなく挿入されていて、心憎い構成になっている。殆どがおなじみの曲だが、アンローなんかは未知の作品だった。また2枚目のシューベルトやウェーバーの「プレシオーザ」は珍しい曲だ。

 

「ミュンシュ&シ...」の画像検索結果
【曲目】
モーツァルト:
2台のピアノための協奏曲(ヴィチャ・ヴロンスキー、P,ビクター・バビン、P)、
フランク:
交響曲ニ短調。以上、1966年7月2日ライヴ
ルーセル:
「バーフスとアリアンヌ」第2組曲、
ラヴェル:
ピアノ協奏曲(ニコール・アンリオ・シュヴァイツァー、P)、
ベルリオーズ:
幻想交響曲。以上、1966年7月5日ライヴ
ドビュッシー:
「牧神の午後への前奏曲」、交響詩「海」、
シューマン:
交響曲第4番。以上、1967年7月15日 ライヴ

シャルル・ミュンシュ指揮 シカゴ交響楽団

>長らくボストン響音楽監督を務めたシャルル・ミュンシュは1962年に退任。以降はフリーとして活躍するつもりが1967年にはパリ管音楽監督に就任します。その合間のシカゴ響への客演ライヴが、一気にセット化。良好なステレオ録音というのもたまりません。ミュンシュのシカゴ響初登場は1947年ですが、以後は縁が薄かったところ、当時のシカゴ響ラヴィニア音楽祭(シカゴ響を中心とした夏の音楽祭)音楽監督の小澤征爾!が師匠に当たるミュンシュに声を掛けて、実現したのが当ライヴです。お得意のレパートリーがずらりと並びます。ロシア出身の伝説のピアノ・デュオ、"ヴロンスキー&バビン"を迎えたモーツァルトの2台ピアノ協奏曲は初出レパートリー。フランクも緊張と弛緩の繰返しが強烈なミュンシュらしい好演(1966年7月2日ライヴ)。ルーセルの「バーフス」第2組曲を15分強で駆け抜けるのも凄い。公私ともに同志であったニコール・アンリオ・シュヴァイツァーとのラヴェルの協奏曲、これは物凄くお洒落な演奏。さらに極め付けの「幻想」で痺れてください。シカゴ響の馬力を生かしてゴツゴツとした肌触りすらある豪快そのものの名演(1966年7月5日ライヴ)。ドビュッシーの「牧神」は、色気たっぷりでとろけるよう。「海」の光彩陸離はいつもながら、オケの底力が凄い。そしてミュンシュのドイツ魂が聳え立つ、派手な中にも構成的なシューマンの交響曲第4番(1967年7月15日ライヴ)。1967年の11月にはパリ管結成で、あのお披露目演奏会を指揮。翌1968年には、パリ管のアメリカ・ツアーを行いますが心臓発作で急逝してしまいます。野外演奏故に自動車の音や飛行機?の音が聴こえたりするのも御愛嬌ですが、ミシガン湖に近い猛暑のシカゴで燃えに燃えたミュンシュの絶叫も音楽の合間に轟きます。
ミューズ貿易

 1966年から67年というとシャルル・ミュンシュはフリーとしていろいろなオーケストラと共演している。パリ管弦楽団ができるまでは、珍しい組み合わせも見られた。この録音もそうした一環のものであろう。この当時はマルティノンの時代にあたる。したがって、オケとしては必ずしも万全ではなかった時代でもある。セッション録音にはない演奏上の傷はあるし、雑音もあるが、それでもミュンシュは楽員を鼓舞して、熱狂的な拍手を受けているというのは、やはりただものでは指揮者というべきだろう。ステレオ収録ながら、ややデッドな感じなのは已むをえまい。モーツァルトやシューマンの作品もあるが、やはりフランスものが聴きものだろう。ルーセル、ベルリオーズ、ラヴェル、ドビュッシーは興奮する。

「イッセルシュテ...」の画像検索結果「イッセルシュテ...」の画像検索結果
【曲目】
ベートーヴェン:交響曲全集
<DISC1>
1. 交響曲 第1番 ハ長調 作品21、
2 交響曲 第6番 へ長調 作品68 《田園》
<DISC2>
3. 交響曲 第2番 ニ長調 作品36、
4. 交響曲 第4番 変ロ長調 作品60
<DISC3>
5. 交響曲 第3番 変ホ長調 作品55 《英雄》、
6. 交響曲 第8番 へ長調 作品93
<DISC4>
7. 交響曲 第5番 ハ短調 作品67 《運命》、
8. 交響曲 第7番 イ長調 作品92
<DISC5>
9. 交響曲 第9番 ニ短調 作品125 《合唱》

【演奏】
ジョーン・サザーランド(ソプラノ)/マリリン・ホーン(アルト)/ジェイムズ・キング(テノール)/マルッティ・タルヴェラ(バス) ウィーン国立歌劇場合唱団(合唱指揮:ヴィルヘルム・ピッツ) 以上、(9)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ハンス・シュミット=イッセルシュテット(指揮)

【録音】
1965年11月22-24日(5)、12月8-12日(9)、1966年10月12-14日(4)、1967年4月26-28日(2)、11月13、14日(3)、
1968年9月16-21日(1,6,7)、1969年6月4-9日(8) ウィーン、ゾフィエンザール

 ハンス・シュミット=イッセルシュテットによるベートーヴェンの交響曲はどれもが素晴らしいとは聞かされてきたが、第9番だけは廉価盤として出回っていたが、ここへきてタワーの独自企画のBOXが登場した。しかもハイブリットSACDによる復刻によってである。通常のCD部分で聴いてもかなり明晰な音になっている。SACD部分は残念ながら鑑賞環境が整わないので、後日の楽しみとしたい。

 さて、第9番はワルターによるステレオ盤と競う形で発売されたような記憶がある。ワルターの方は再発売だったかもしれない。何せ半世紀も前のことだ。ワルターの方は金色の豪華な感じのジャケットだった。一方こちらのイッセルシュテットはやたら長い名前で覚えにくかった。ワルターはほかの曲でも聴いていたし、第4楽章のサワリの部分が鑑賞曲の教材にもなっていたので、ワルターの方を求めた記憶があった。以来、ハンス・シュミット=イッセルシュテットは名前だけを知るような形が数十年続いた。先にブラームスのBOXを購入して感心したので、ベートーヴェンもとなった。しかもこちらはすべてVPOが共演。今なら他の指揮者とのベートーヴェン全集もあるが、なんとこれが彼らの初めてのベートーヴェン交響曲全集となったようだ。それでも4年を要している。

 演奏はオーソドックスで自分の感じたような音楽が展開するので、聴きやすい。妙な演出もない。実直な感じがする。オーケストラの性能から云えばワルターよりいい。古いステレオ録音ながら、ここまで明晰に復元してくれてことがうれしい。


↑このページのトップヘ