2018年11月

 享年94歳で亡くなった赤木春恵を偲んで、映画のフィルモグラフィを掲げてみる。あくまでスクリーン上映の作品に限っているので、テレビドラマなどは含まれていない。


 こうして眺めると、初期の頃は大映作品だが、1949年あたりから東映京都で撮影されたものが、かなりある。それも1965年あたりまで続く。この頃まで京都を拠点にしていたということであろう。その後、テレビや舞台に活躍の場を見出して、70年代以降は端役ではなく、結構目立つ脇役俳優に変貌しているということだ。

 今や同世代の俳優は織本順吉や佐々木すみ江あたり、少し若いのは奈良岡朋子あたりが、いる。そして香川京子や久我美子あたりはもう少し若い。香川、久我と同年ながら山本富士子はどうなのだろうか。少なくとも映画の出演はない。さらに2つ若いのが若尾文子ということになる。元気な人は是非活躍を続けて欲しいと願うだけである。

①ルーセル:交響曲第3番ト短調 op.42(ステレオ)
シャルル・ミュンシュ(指揮)
録音:1967年2月16,18日 シカゴ、オーケストラ・ホール

② コリリアーノ:ラヴェロの鐘(ショルティ75歳記念オーケストラ委嘱作品/世界初演録音)(ステレオ)
ケネス・ジーン(指揮)
録音:1987年10月9日 シカゴ、オーケストラ・ホール

③バルトーク:2つの肖像 op.5(ステレオ)
サミュエル・マガド(ヴァイオリン)
サー・ゲオルク・ショルティ(指揮)
録音:1987年9月24,26日 シカゴ、オーケストラ・ホール

④カーター:オーケストラのための変奏曲(ステレオ)
サー・ゲオルク・ショルティ(指揮)
録音:1982年1月26日 ロサンジェルス、ドロシー・チャンドラー・パヴィリオン

⑤ブゾーニ:序曲『喜劇』(ステレオ)
ダニエル・バレンボイム(指揮)
録音:1996年1月4日 シカゴ、オーケストラ・ホール

 これはDISC9。ここでの聴きものはミュンシュによるルーセルの第3番だと思う。DISC1のラモーと異なり今度はステレオ収録というのもうれしい。爆演というよりは活気みちた名演といった方がよい。とにかくアンサンブルが達者なのは舌を巻く。この当時はマルティノンの時代である。フランスものは結構慣れていたのかもしれない。他にはブゾーニやエリオット・カーターといった珍しい演目が並ぶ。結構な大編成で自分の好みの響きがする。

①ワーグナー:『ローエングリン』第3幕への前奏曲(モノラル)
アルトゥール・ロジンスキー(指揮)
録音:1948年4月21日 シカゴ、オーケストラ・ホール

②ベートーヴェン:交響曲第2番ニ長調 op.36(モノラル)
レオポルド・ストコフスキー(指揮)
録音:1962年10月7日 WGN-TV Studios

③ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調 op.92(ステレオ)
ヤーノシュ・フェレンチーク(指揮)
録音:1979年3月22,24日 シカゴ、オーケストラ・ホール

 今回はDISC2の盤。③は結構古い録音でかつベートーヴェンを中心にした収録ではある。

 ①ワーグナーだが、指揮をしているのがロジンスキーで少し素っ気ない演奏である。録音がいささかデッドな録音も相俟って余計にそう感じるかもしれない。ロジンスキーの終わり方は一気に終幕に飛んで終わる方式だった。

 ②はテレビスタジオの収録のようだ。このテレビ局の音源は問題が多いと技術担当のコメントにあった。どうもフルメンバーではなく、弦などはプルトをかなり短縮しているような感じではある。

 ③が一番状態がいい。フェレンチークというとチェコとかハンガリーのオケばかりとの共演の印象が強いが、アメリカのオケを振るというのが珍しい。結構パワフルな演奏をしている。機能は東欧のオケより数段上だから、この指揮者の良さが引き立っているのかもしれない。

①ビゼー:序曲『祖国』(モノラル)
デジレ・デフォー(指揮)
録音:1947年1月22日 シカゴ、オーケストラ・ホール

②ドビュッシー:6つの古代墓碑銘(アンセルメによる管弦楽版)(ステレオ)
エルネスト・アンセルメ(指揮)
録音:1968年1月25,26日 シカゴ、オーケストラ・ホール

③ドビュッシー/ラインスドルフ編:歌劇『ペレアスとメリザンド』より前奏曲と間奏曲(ステレオ)
エーリヒ・ラインスドルフ(指揮)
録音:1986年11月26,29日 シカゴ、オーケストラ・ホール

④コープランド:バレエ音楽『ビリー・ザ・キッド』組曲(ステレオ)
ジェイムス・レヴァイン(指揮)
録音:1981年7月4日 ラヴィニア音楽祭、シカゴ北部郊外、パヴィリオン(野外音楽場)

 三回目はDISC8。ここではフランス音楽中心の収録。ビゼーのみが古く、モノラル。しかし、どれもこのオケのアンサンブルは堪能できる。一番新しいレヴァインはさすがに鮮度もあって、聴きやすい。当時、この組み合わせでいくつかの録音がDGからリリースされていたが、コープランドはあったのだろうか。組曲ながら溌剌としたところはいい。ただ、この指揮者は太りすぎて最後は体調崩して引退してしまった。その後も「Me Too」運動の一環か、セクシャルハラスメントが露見して、名誉も失ってしまったのは残念である。

 ドビュッシーは両曲ともに指揮者による編曲や編集されたものを演奏している。収録年代を見るとアンセルメは手兵を率いて来日した年であり、死の前年である。一方、ラインスドルフはボストン交響楽団を締め上げすぎて、却って生気を喪失させてしまったという人。この当時はフリーランスでいろいろなオケを指揮していた時代のようだ。この当時、代役でNYPの日本公演を振ったこともある。

 収録年月日を見て、その当時のことを思いを馳せるのも面白い。

①モーツァルト/ブゾーニ編:『後宮からの誘拐』 K.384~序曲(ステレオ)
ダニエル・バレンボイム(指揮)
録音:1996年2月8日 シカゴ、オーケストラ・ホール

②モーツァルト:ディヴェルティメント第11番ニ長調 K.251より(第1,2,3,5楽章)(ステレオ)
レイ・スティル(オーボエ)
カルロ・マリア・ジュリーニ(指揮)
録音:1967年3月2,3日 シカゴ、オーケストラ・ホール

③ベートーヴェン:オリーヴ山上のキリスト op.85(ステレオ)
ローラ・エイキン(ソプラノ)
ベン・ヘップナー(テノール)
ルネ・パーペ(バス)
シカゴ交響楽団合唱団(ドゥエイン・ウォルフェ:合唱指揮)
ダニエル・バレンボイム(指揮)
録音:1996年2月15,16日 シカゴ、オーケストラ・ホール

 これはDISC10の内容。順番は思いつきである。比較的苦手な古典派の作品ばかり収録されたものを先に聴いてみることとした。最初のものはとにかく古い録音があったので、心配だったからだが、こちらは割と新しい録音であり、全てステレオ収録になっている。

 最初の序曲だが、オペラ上演の時は、そのままアタッカで劇中に突入する。したがって、演奏会用に終止が作られているが、ブゾーニ編曲とあるのは通常の版ではなく、ブゾーニが作った終止ということらしい。後宮はご存知のようにハーレムである。少し背徳な雰囲気のある演目。大太鼓やシンバル、トライアングルなんかがモーツァルトには珍しく使われているのはトルコが舞台だからだろうか。

 ②のジュリーニよるディヴェルティメントは抜粋なのが少し残念だが、こうして適宜選択して演奏するのが常なのかもしれない。これはBGMとしては誠にいい音楽。

 しかし、このディスクは③が中心。あまり演奏頻度は高くないが、第9番や荘厳ミザ曲に先立つ、カンタータでほぼこれらの楽器編成と同じようである。ネットでスコアやパート譜を検索できる。約60分ほどかかる大作である。もっと演奏されていい作品。バレンボイムは是非取り上げるべきということで演奏されたようだ。この当時、既に放送局は放送しておらず、これも特殊な音源のようである。

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